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anonymous
2008-02-17 00:16
- 黄砂予報精度かすむ、国家機密と中国がデータ提供拒否
春になると、中国大陸から飛来する黄砂を日本、中国、韓国、モンゴルの4か国で観測し、環境省のホームページ(HP)で飛来状況を公表したり、予測したりする計画が、当初協力を約束していた中国が「離脱」したため、精度を確保できない見通しになっている。
中国側が「気象情報は国家機密」として、データの提供を拒否したためで、HPは、肝心の発生源の情報がないまま今月下旬の本格運用を迎える。
黄砂が飛来することで、中国や韓国では、住民の呼吸器系の健康被害が相次ぎ、日本では、九州を中心に洗濯物が汚れたり、精密機器の工場で不良品の発生率が上がったりするなどの実害が出ている。福岡県保健環境研究所(太宰府市)によると、昨年4月初めに観測した黄砂では、同県内で大気が薄い褐色に変わり、粉じん濃度も一斉に基準値を超えた。
気象庁では現在、黄砂の飛来状況について、全国85地点で観測した情報を発表しているが、目視確認のため国内に飛来した時点の情報しかなく、正確な飛来量も予測できない。
このため環境省では昨年春、HP上で「黄砂飛来情報ページ」の試験運用を始め、今年2月下旬から、中国と韓国の各1か所、モンゴルの3か所、それに日本の10か所の観測地点のデータをもとに、地上から上空6キロまでの実際の飛来量や、黄砂の予想分布図を公表する予定だった。
中でも、中国の観測地点は、日本への飛来ルート上の首都・北京にあるため、日本への飛来量について精度の高い予測を出すには不可欠だったが、試験運用を始める直前の昨年4月、中国側から突然、データ提供をストップすることを通告された。
気象観測データは国の安全と利益にかかわる機密情報として、あらゆる気象観測データを国外に持ち出すことを禁じた法律「気象局13号令」を施行したことが理由だった。この状況は現在も続いており、今月下旬から始める本格運用でも、中国でどれぐらいの量の黄砂が発生しているのか、発生源のデータがないまま、飛来量を予測することを余儀なくされる。
さらに中国は、日本の政府開発援助(ODA)の無償資金協力で、新たに7か所に観測機器を設置して黄砂の観測網を充実させる予定だったが、これも昨年5月に中止し、日本が準備した2億5000万円の無償資金協力(2006年度)もキャンセルとなった。
日中韓3か国は先月、黄砂の共同研究に乗り出したが、このままでは発生源のデータはモンゴルのみになり、今後の研究にも影響を与えそう。
環境省環境保全対策課は「中国からは『北京オリンピックがあるため、研究目的に提供できることになったとしてもホームページでの公開は難しいだろう』との情報を得ている」と話している。
(2008年2月16日14時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080216-OYT1T00371.htm?from=top
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